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2019.08.20

『アジア探索051~ ソウル編⑫』ソウル探索を終えて

『アジア探索051~ソウル編⑫』

ソウル探索を終えて

以上、駆け足で巡ったソウルですが、今回の旅行で最も印象に残ったのは、ソウル広場、清渓川再生プロジェクト、ソウル路7017、東大門デザインプラザなどの大規模プロジェクトが比較的短時間で実現されていることでしょうか。詳細な背景まではわかりませんが、大規模な都市改造プロジェクトが時の市長の号令で一気に進むのだとすれば、これも韓国・韓国人の一面を表しているような気がします。

日本では、インフラ施設の改造を含まない市街地再開発事業でも10年、20年かかるケースが珍しくありません。例えば、日本橋の上部を覆っている高架の首都高速道路を地下化し、日本橋川に陽光を取り戻すプロジェクトは、2002年に議論の俎上に上ってからおよそ20年を経て、東京オリンピック後にようやく実現に向かいそうなところまで来ました。清渓川再生プロジェクトも大いに参考になるでしょう。

ところで、明洞を歩いていて少し気になったことがあります。人々は一見、渋谷を歩いている人々と同じように見えますが、笑い声を聞いたり、笑顔を見たり、という状況が少ないように見えました。韓国国内にどことなく閉塞感が漂っているからなのでしょうか?韓国は国内マーケットが小さく、輸出産業を柱に経済発展を成し遂げてきており、海外に出て行く人材を積極的に育成していると聞いていますが、日本のようにインバウンドも歓迎し、外国人観光客を増やす戦略は取っていないのでしょうか?

ソウルに4泊し、帰国する日を迎えました。何の気なしにホテルの部屋からソウル広場を見たところ、広場の地面が見えないほど、凄まじい数の人々で埋め尽くされているのを見ました。何があったのかと思いましたが、51日、メーデーだったのです。文在寅政権の下、労働運動も相当ヒートアップしているとのことで、これもまた現在の韓国の一面なのでしょう。

ソウルの都市開発の事例を見てもう一つ感じたのは、都市空間や建築空間の造りこみ方がやや大味なことです。日本で最新の都市開発事例を見慣れている目から見ると、やはり施工精度を含めて、彼らの造り方にはきめ細かい配慮が足りないとどうしても感じてしまいます。逆に、改めて日本の都市空間、建築空間の質の素晴らしさを認識することができました。このあたりは、国民一人ひとりの意識がいかに成熟しているかということに関わっているのかもしれません。

最近では、文在寅政権は反日の姿勢を崩しておらず、日韓関係は戦後最悪の状況ともいわれており、両国の経済や民間交流にまで悪影響を与えつつあります。このままでは、「近くて遠い国」は、「本当に遠い国」になりかねません。グローバルな社会の中で、日韓両国が世界にきちんと目を向けながら、成熟した国同士の関係をしっかりと築いて行けることを望みます。

(ソウルシリーズ おわり)

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