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2018.01.16

『アジア探索010~ハノイ編② 』ベトナム人とバイク

『アジア探索010~ハノイ編②』

ベトナム人とバイク

旧市街地の東側の一角に、ホァンキェム湖という小さな湖があります。上野不忍池程度の大きさでしょうか。

夏の夜、8時頃、市民が夕食を終えたころになると、多くの二人乗りバイク(多くは原動機付き二輪車)がこの湖の周りをぐるぐる走り始めます。最初は何をしているかわかりませんでしたが、ベトナム人ガイドに尋ねたところ、彼らは夕涼みしているとのことでした。なるほど、仮に無風状態でも、バイクで走れば風を感じることができるわけですね。

通りの道幅いっぱいに、バイク達が河の水のように切れ目なく走っているのですから、道路を横断するのも一苦労です。現地の人もさぞかし困っているのでないかと観察してみたところ、彼らはいとも簡単にすいすいと道路を横断していました。これもベトナム人ガイドに尋ねたところ、「大丈夫ですよ、バイクは人を避けてくれますから。」と、笑いながら平然と言ってのけます。確かに、横断しかけて、下手に急に止ったりすると逆に危ないのですね。バイクからみれば、我々が一定の速度で歩いていれば避けやすいのだ、ということを学習しました。

見ると、バイクの二人乗りはごく普通で、中には子供連れ四人乗りの家族もいます。荷台の両側振り分けで大きな荷物を運んでいるバイクもいます。通勤にも大半の人がバイクを使っており、ほとんどの事務所ビルの地下一階または半地下一階はバイク駐車場になっています。それでもあふれたバイク達は、歩道を我が物顔で占拠することになるのです。歩道に停められたバイクに、またがって休んでいる人もよく見かけます。ハノイ市民にとって、まさにバイクは自動車の役割を果たしているようですし、生活になくてはならない物になっているのですね。ベトナム人は100m先の店に行くのでも間違いなくバイクを使う、という話もききました。

最近になってようやく、地下鉄1号線、2号線の工事が進んでいますが、人々が通勤に地下鉄を使うようになるまでには、相当な時間や施策が必要なのではないかと予想されます。タイのバンコクでも、地下鉄ができてから市民生活に定着するまで10年かかったと言う人もいます。地下鉄ができても、家から地下鉄駅まで、地下鉄駅から職場までの歩道が快適で歩きやすくなければ、なかなか転換はできないのでしょう。以前、TOD(公共交通主導型の都市開発)のお話をさせていただきましたが、私たちが普通だと思っている日本の歩道の歩きやすさは、実は貴重なものなのだと、改めて実感しました。

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