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2019.05.08

『東京探索035』 新宿エリア⑪ 新宿新都心のサンクンプラザと周辺の再開発

『東京探索035』 新宿エリア⑪

新宿新都心のサンクンプラザと周辺の再開発

1974(昭和49)年に竣工した新宿三井ビルは、四周すべて道路に面したスーパーブロックに建っています。東側、北側、西側の三面の道路は通常の地上レベルですが、南側の道路は約7m低いレベルの、西口地下広場に通じる「4号街路」に面しています。そして、ビルの南側に公開空地を集約し、この地下1階レベルの道路よりさらに一層低い「サンクンプラザ」と呼ぶ広場を巧妙に設置し、高低の変化に富んだ人間的スケールの空間を創っているのです。

新宿三井ビルの設計者から話を聞く機会があったのですが、このビルは西口地下広場から歩いてきた人が最初に超高層ビル街区に触れる場所にあることから、是非とも陽の当たる、緑あふれる広場にしたかったそうです。当時のニューヨークやシカゴの超高層ビルの足元を見て回ったうえで、広場としては当時の世界中、どこにもないようなものを創ったとのことでした。確かに、このサンクンプラザは、多様な視点場を創ることができるとともに、この空間にいる人に対しては道路の喧騒から離れた、囲まれた空間が一種の安心感を与える効果を持っていると思います。

隣接する新宿センタービルにも当初からサンクンプラザが設置されていましたし、新宿野村ビルは、2006(平成18)年に地下1階商業施設のリニューアルに合わせてサンクンプラザを新設しました。新宿住友ビルの広場は対照的に比較的シンプルでしたが、巨大アトリウムを新設する大規模改修を行っており、7月末には完成するそうです。1995(平成7)年に竣工した新宿アイランドタワーもサンクンプラザを持っています。

新宿アイランドタワーは、浄水場の街区ではなく、これに隣接する、多数の権利者が住んでいた街区において、「第一種市街地再開発事業」によって発案から20年の年月をかけて完成しました。南側に相次いで超高層ビルが建てられたことが再開発の端緒となったそうです。ほかにも、周辺の街区では再開発が次々に進んでいます。新宿区内で既に完成した14地区の市街地再開発事業のうちの8地区が、新宿新都心周辺で施行されたものです。

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