『東京探索036』 新宿エリア⑫
南への展開―タカシマヤタイムズスクエアと新宿サザンテラス
新宿駅南口は、もともとは、甲州街道がJRなどの線路を越えるように作られた陸橋の上に設けられた出口で、現在西口にある京王電鉄の新宿駅は1915年から1945年までこの南口にありました。かつての東口、西口、南口はそれぞれ独立した圏域を形成していましたが、小田急ミロード横のモザイク坂、ルミネ、ルミネエストなど、地上、地下の商業動線が次第に整備され、駅周辺の回遊性が増してきました。東口から始まり、西口も順次発展してきた新宿駅周辺地域が、しだいに南へも発展していきます。
1991年に甲州街道に面したJR新宿駅南口の対面に、いわゆる「新南口」が開設され、これに隣接して、1996(平成8)年10月には「タカシマヤタイムズスクエア」が完成しました。この大規模な商業開発は、国鉄清算事業団が設立した新会社がJRの「新宿貨物駅跡地」を再開発したものです。メインテナントである髙島屋新宿店は売場面積53,946㎡と、伊勢丹新宿店の本館とメンズ館合わせた売場面積64,296㎡ には及びませんが、百貨店用途の単独建物としては大規模です。敷地が南北に長く、特に南端の東急ハンズに行くには新宿駅からより代々木駅からの方が近いぐらいです。
1998(平成10)年3月には、新宿サザンテラスができました。小田急線の線路上空の空間を利用して延長350mの人工地盤を築き、遊歩道と店舗を配置したもので、これに接する小田急サザンタワーへの動線を兼ねています。比較的幅の広い通路にゆったりと飲食店などが並んでいるのが特徴で、そのオープンスペースを活用して特別なイルミネーションなどのイベントも展開されており、タカシマヤタイムズスクエアともJR線路上空の歩道橋「イーストデッキ」でつながっており、これらによって人の流れは大きく変わりました。そして、これらが、南口のさらなる発展の礎となっていったのです。