『東京探索058』渋谷エリア⑫
渋谷ストリーム2階の不思議空間
渋谷ストリームの渋谷川沿いには、レモネードを売る路面店などがあり賑わいを創出しています。そして、2階に上ると、かつて渋谷にあった路地のような空間が出現していました。幅6m~8mほどの通路の両側に、路面に張り出すようにテーブルや小物をレイアウトした雰囲気のある飲食店が並んでいます。
ふと床を見ると、そこには何やら平行に微妙にカーブしている二本の線があります。なるほど、ここはかつての東急東横線渋谷駅だったのですね。おそらく線路があった位置が忠実に再現されているのでしょう。
さらに北に進むと半屋外の空間に出ますが、壁面にイチョウ型のオブジェがありました。曲線的なトラス架構の屋根があり、上面がその屋根に沿ったカーブを持っています。坂倉準三氏がデザインして東急東横線プラットフォームのシンボルにもなっていた「蒲鉾屋根」を再現したもののようです。
この2階レベルの通路を歩くと、そのまま首都高速道路3号線の下をくぐりながら国道246号線の上空を渡り、渋谷スクランブルスクエアの南側入り口、さらに渋谷ヒカリエへと続く通路にも出られます。渋谷駅直結の3つの複合施設の中間地点からは、南は渋谷ストリーム、北は渋谷スクランブルスクエア、東は渋谷ヒカリエと3つのサインを同時に見ることができます。
渋谷ストリームのアーバンコアはここにあり、地上の歩道と行き来できる独立した形態で、ガラスで覆われた未来的なデザインになっています。このアーバンコアに接する形でオフィス部分に入居しているGoogleの巨大なサインボードもあります。東急は竣工から1年間空室にしてでもGoogleの誘致に固執したようで、「ビットバレー第2章」の展開に大きな期待を寄せているように見えます。
渋谷ストリームから渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエへと繋がる一連の空間は、渋谷大改造の象徴的な空間の一つではないかと思います。これらとJR山手線、埼京線、湘南新宿ライン・成田エクスプレス等のプラットフォームとが今後どのように接続されるのか、さらなる変化が楽しみです。