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2019.06.11

『アジア探索042~ ソウル編③』 新旧の市庁舎

『アジア探索042』 ソウル編③

新旧の市庁舎

ソウル広場に隣接する旧市庁舎は、もともとは日本統治時代の1926年建立の「京城府」庁舎で、その後、ソウル特別市の庁舎として使われていました。2002 年日韓共催FIFAワールドカップのときに多くの市民が集まっていたのはこの建物の前。日韓関係が最も良かった時期ですね。

韓国は1950年に始まって1953年に休戦となった朝鮮戦争を経て、一時は世界でも最貧国と言われる状態でしたが、日本からの賠償金、円借款、技術支援も得て、現代自動車、サムソン電子などの輸出産業が目覚しく発展しました。韓国経済は、1995年にはGDPで世界11位に入るなど、「漢江の奇跡」と呼ばれる成長を遂げたのです。ソウル市庁舎も手狭になり、2006年、旧市庁舎の後ろの敷地に新市庁舎を建てることになりました。

設計案の選定は難航しましたが2008年、最終的にユ・ゴルという韓国人建築家の案が選ばれ基本設計を完成、2012年にこの奇抜なガラス張りの建物が竣工しました。公式な「ソウル市庁舎セルフツアーガイド」によれば、「『水平性』と『深い陰影』という設計コンセプトに基づき、韓国の伝統家屋「韓屋」の「軒」を再解釈して建てられたソウル市庁舎は、地下5階、地上13階、面積は約9万㎡で、環境にやさしい設計により、夏は日かげの涼しさを、冬は日なたの暖かさを提供する」とのことですが、有識者や市民からは、「旧市庁舎が巨大な新市庁舎に飲み込まれそうになっているようにも見える」、「ガラスを使いすぎていて省エネに配慮されていない」などの批判もあったようです。

地下1階及び地下2階はCity Hallですが、市民の声を聴くという意味で「市民聴」と名付けられています。最上階には「空の広場」や、カフェ「ハッピープラス」があり、ソウル広場を見渡すことができます。

旧市庁舎は、新庁舎建設に伴って、「日本統治時代の残滓(ざんし)なので解体撤去すべし」という意見もあったようですが、最終的にはリニューアルして保存されることになり、2012年にソウル図書館としてオープン、カフェや文化館、記念館なども併設され、市民に受け入れられ、親しまれているようです。

この国の政治の世界では、親日的だと思われることがタブーであるかのように避けられてしまっています。何とか、2002年のような状態に戻せないのでしょうか?

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