『アジア探索015~シンガポール編①』
アジアで大きな地位を占める小さな国
上海、ハノイに続く「アジア探索シリーズ」第3弾、今回からシンガポールを探索します。
シンガポール・チャンギ国際空港に着いてタクシーで市内に向かうと、何ともいえない高揚感を感じます。美しく整備された道路沿いにそよぐ南国の花々やみずみずしい緑、遠くにそびえる高層ビル群などからは、安全・清潔で洗練された都市国家の確固たる信念が感じられます。そして、マリーナベイ・サンズの屋上のインフィニティ・プールからのシティ・ビューは、この国の経済発展・活力を象徴しているようです。
東京23区の1.15倍に相当する720km²ほどの面積しかない国土に560万人が住み、人口密度世界第2位を誇ります。2016年現在、GDP は2,970万USドルですが、一人当たりGDPは5.3万USドルと世界第10位で、アジアで第3位、産油国を除いては第1位、ミリオネア(資産100万USドル以上の個人)の割合も世界第3位です。
2016年まで10年連続で世界銀行「世界で最もビジネス展開に良い国」に選ばれたこの国は、アジアの時代と言われる今、東南アジア各国に対しても、日本や中国に肩を並べる影響力を持ちつつあります。法人税率の低さ、通貨の安定性などの優位性により、シンガポールは、多国籍企業の東南アジア展開に際してのハブとしての地位を確立しつつあります。
シンガ・プラ(ライオンの島)という小さな島が、その地政学的重要性から英国のトーマス・スタンフォード・ラッフルズ卿の目に留まり、「何としても獲得したい」と思わせるまでにいたりました。そして、ジョホール王国の内紛に乗じて英国が植民地とし、シンガポールと名づけたのは1824年のことです。
植民地時代は1965年に終わり、その後は李光耀(リー・クワンユー)により統治されましたが、マレーシアから切り離された当時は、「資源も水も食糧もない」絶望的状態であったと言われています。それから50年で、シンガポールはどのようにして現在の地位を築いたのでしょうか?これからしばらく、外国人の視点から見た見どころを探索しながら、この国の歴史や将来に思いをめぐらせてみたいと思います。お楽しみに!