『アジア探索014~ハノイ編⑥ 』
ベトナム式巨大地下モール
ハノイでは、ヴィングループという不動産業界のトップが、郊外で巨大住宅開発を進めようとしている一方、市街地では板状の高層住宅団地も建設しています。その一つであるロイヤルシティに、ベトナム最大の面積を誇るヴィンコムメガモールがあると聞いて行ってみたのですが、何と、これがほとんどすべて地下に埋まっていたのです。地下1階と地下2階の2層合わせてグロス230,000㎡の巨大モールを、住宅団地の敷地を総掘りしてそこに埋めてしまっているのですね。法規はどうなっているのかよくわかりませんでしたが、かなりの部分が容積対象外になっているとのことで、これにも驚かされました。
もう一つ、これよりやや古いタイムズシティという開発もありますが、こちらは地下1層ワンフロアで200,000㎡あります。地下に入ると、ひと昔前の日本の地下街が広大に広がっているような感じで天井高も4m程度で、長時間過ごしたくない感覚がありました。1層のみでメイン軸線がどれなのかも認識しにくいため、フロアマップやサインを見なければ目的地にたどり着けないのではないかと心配になりました。
これに比べると、2層構成のロイヤルシティは吹き抜けを持ち立体感があるためか、入ってしばらくすると、自分が地下にいるような感じがしなくなりました。商業空間に関しては、このような心理的な効果も空間の価値を左右するのだということを改めて認識しました。さらに、ロイヤルシティには、地下でありながら、水族館あり、遊園地ありで、アメリカ式の巨大ショッピングモールその作法を踏襲しています。
ベトナム人は、戦争に一度も負けていない民族です。大国の力にはあまり逆らわず、うまく受け流しながら、知らず知らずのうちに自分のペースで物事を進めていく、そんなベトナム人の気質が垣間見えるようです。
(ハノイ編おわり)