『アジア探索006~上海⑥』
中国の長距離交通事情
中国の国土面積は日本の25倍、人口は10倍以上です。都市人口と農村人口は明確に区別されていますが、各省や各都市が都市化率を競うかのように増大したこともあり、現在では、統計にもよりますが、都市圏人口が1,000万人以上の都市が15、人口100万人以上の都市は何と150もあるといわれています。
そのような中で経済発展とともに人々の日常的な移動も増え、飛行機や高速鉄道は常時満席のような状態です。そのうえ、春節(旧正月)に故郷に帰る習慣は根強く、このピークに合わせるため、高速鉄道の駅も「空港か?」と思うほど巨大なものになります。
上海には、虹橋空港と浦東空港があります。2010年に虹橋空港の第二ターミナルが建設されたのと同時に、そのさらに西側に虹橋総合ターミナルという高速鉄道の終着駅ができましたが、このターミナルビルは、商業施設を合わせて100万㎡の大きさを持っています。
2009年から整備されはじめた中国の高速鉄道網は、2025年には総延長 38,000km(およそ赤道一周の距離)に達する予定で、定時発着率も上がってきて利便性を高めています。飛行機は航空路が過密状態なためか遅延が日常的にありえるため、1000kmぐらいまでの移動なら高鉄を選択する人も増えています。また、長距離バスも、各都市にバスターミナルがあり便数も多く、当日でも席が確保しやすいためかよく使われています。
中国の鉄道駅の仕組みは日本とは異なります。列車到着の10分前まではプラットフォームに乗客が入れず、2階レベルの待合室で待さされる仕組みになっています。列車が到着すると、降りた旅客は階段で地下1階に降り、2階から降りて待っている乗客が乗りこむ、という一方通行システムになっています。大勢の人を混乱なく捌くためには、必要不可欠な仕組みだったのでしょう。