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2019.11.19

『東京探索049』渋谷エリア③ グリッドでない都市構造

『東京探索049』渋谷エリア③

非グリッドの都市構造

渋谷という地名の由来には諸説ありますが、少なくとも渋谷がすり鉢状の「谷」であることは歩いてみても確かです。新宿御苑の湧き水が水源であると言われる渋谷川と代々木八幡方面から流れる宇田川が宮下公園付近で合流し、Y字状の谷を形成しています。

確かに、地形図からは3つの台地(代々木公園を含む代々木台地、広尾・表参道を含む渋谷東台地、松濤・代官山を含む渋谷西台地)が浮き出て見えます。この谷を東西に横断する道路が、古くは鎌倉街道、江戸時代以降は神奈川県丹沢の大山阿夫利神社に通じる大山道としてヒト・モノの移動の重要なルートでした。渋谷川の東の宮益坂、西の道玄坂がこれに当たります。

地図を眺めていて、渋谷駅周辺の道路がほとんどグリッド(格子)状になっていないことに気づきました。一般的に、起伏が激しい地域では勾配を考慮しながら道路ができてグリッドにはなりませんが、渋谷には特に二股に分かれる道が多いと思います。SHIBUYA109のところで分かれる道玄坂と文化村通り、マルイシティのところで分かれる公園通りと神宮通り、ピンクドラゴンのところで分かれる明治通りとキャットストリートなどです。

都市計画の世界では、最も土地利用効率を高めるためにはグリッドが最適であり、特に平坦な土地においては京都や札幌のような条里制の都市が適しています。渋谷においては、起伏が激しい地形の上に渋谷川、宇田川という2条の川も作用して非グリッドの道路網が自然発生的に発達し、軸線のずれを生んだ結果、街を歩くと自然に街路に面したファサード(建築物の正面部分)が視点の先に入ってきます。

グリッド状の都市では、地図や通りの名前を見ながらでないと目的地にたどり着けないことも多いと思いますが、渋谷の街を何回か歩けば、道の曲がり方や坂道の上り下りなどで視覚的に道を覚えられます。このことが渋谷の街を特徴づけ、商業集積を発展させたのかもしれませんね。

 

 

 

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