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2018.10.09

『アジア探索031~台湾編⑧』高雄のLRTとパイナップル工場

『アジア探索031~台湾編⑧』

高雄のLRTとパイナップル缶詰工場

高雄市は、臺湾最南端の都市で、人口では臺中市と2位を競う規模です(20177月現在約280万人)。

日本経済新聞(20171030日付)にも出ましたが、高雄市で運行し始めたLRT(次世代型路面電車)が注目を集めています。記事によれば、これは路面電車化された元貨物線の臺湾鉄路管理局高雄臨港線の経営を引き継いだもので、2015年から一部区間で無料の試験営業を始めていましたが、20179月、全長8.7kmの第1期区間が正式開業したそうです。

車輌はスペイン製のモダンなもので、レール周りは芝、プラットフォームには植樹もされています。2019年には高雄市中心部を一周する22.1kmの環状線が建設され、すでに運行中の2本のMRT(大量高速輸送)を含めた軌道交通ネットワークが完成するそうです。これまでの臺湾では二輪車などの利用が多く公共交通機関にはなじみが薄かったのですが、公共輸送機関に乗る習慣がさらに定着するとよいと思います。

さらに記事によれば、「このLRTの第一期区間にあたる湾岸部で高雄市が1999年から再開発に着手、国際展示場や商業施設などを建設していて、LRT停留場から半径800m以内は容積率制限を緩め、民間開発を誘導している。」というのですから、まさに臺湾版のTOD(公共交通指向型開発)ですね。中心部のターミナル駅である哈瑪星(ハマシン)においては「戦前日本が開いた貨物駅跡と一体で整備し、周辺の街では日本統治時代の景観を再現したい(市都市発展局)」というのです。

別の事例として、日本統治時代から残る唯一のパイナップル缶詰工場に関しても、保存再生の動きがあります。高雄市文化局提供のニュースによれば、高雄市の「九曲堂泰芳商会鳳梨缶詰工場」が、約2年の修復工事を経て2018818日、文化・レクリエーション施設「臺湾パイナップル工場」(臺湾鳳梨工場)としてオープンしたそうです。

同市政府文化局によれば、1908(明治41)年開業の九曲堂駅、1913(大正2)年竣工の大樹旧鉄橋や竹寮取水場など周辺の観光スポットは一つの文化回廊を形成していて、これらが地元の観光産業活性化につながることに期待を示しているとのこと。 このようなことからも、日本統治時代の遺産が人々にとってけしてマイナスイメージを与えるものではないことがうかがわれますね。

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