ブログBlog

2017.09.19

『わが国の都市をめぐる今日的課題008』再々開発・再開発ビルのストック再生

『わが国の都市をめぐる今日的課題008

再々開発・再開発ビルのストック再生

1969年に都市再開発法が施行されてから50年近くが経ようとしており、一度市街地整備事業等で整備された街区や敷地であっても、さらに再開発が必要となるケースが出てきています。

公表されている一般社団法人日本経済団体連合会の資料によれば、再々開発が必要な社会ストックとしては、

① 都市再開発法(1969年制定)に基づく市街地再開発事業のうち、30年以上前に事業が完了した初期再開発事業により整備された街区・敷地

② 防災建築街区造成法(1961年制定、1969年廃止、都市再開発法の前身)に基づく防災建築街区造成事業により整備された街区・敷地

③ 公共施設の整備に関する市街地の改造に関する法律(1961年制定、1969年廃止)に基づく市街地改造事業により整備された街区・敷地

があり、①②③合わせて全国で約360地区(ビル数で約860)であると試算されています。

また、これらの地区には:

① 経済的な耐用年数(例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造4047年、重量鉄骨造35年)を迎えつつあるビルが多いこと;

② ビルが老朽化し、機能が低下することで、キーテナントの撤退等が発生し空室率が増大し更新が進まず、その結果、街(都市・地域)の活性力が停滞・低下することが懸念されること;

③ また、東日本大震災を受け、建物の耐震化、更新意識の高まりを受け、防災上の観点から大規模で老朽化している既存建物の安全性や耐久性の確保は喫緊の課題であること;

が指摘されています。

国土交通省においても、「再開発ビルのストック再生」が課題となっており、地域の活力の維持のためには、再開発ビルの既存ストックを適切に維持運営することに加えて、「リフォームやコンバージョン、再開発実施地区の一部を含む再開発事業の実施等の必要性」が検討されているようです。

 

このように、8回シリーズで、「わが国の都市をめぐる今日的課題」として、持続可能な開発に関するさまざまな概念、既存の社会資本・ストックの活用の方策などを概観してきました。今後も、折を見て、このような都市計画的視点からの投稿をしたいと考えています。

 

PAGE TOP