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2019.10.23

『東京探索045』上野エリア⑧ 東京都美術館のクリムト展

『東京探索045』上野エリア⑧
東京都美術館のクリムト展

「ル・コルビュジエ展」に続いて、やはり上野にある東京都美術館で開かれていた「クリムト展 ウィーンと日本1900」も観て来ました。

東京都美術館は、レンガ造りのように見えますが、鉄筋コンクリート造で外壁は打ち込みタイルです。風致地区内で建物高さが15m以下に抑えられていることを踏まえて、建築家の前川國男氏は中心部の広場を掘り下げてエントランスとし、ロビーも地下1階に設けています。企画・常設ブロック、公募展示ブロック、文化活動ブロックをそれぞれ独立させ、広場を取り巻くように配置し、このうち公募展示室は4つのブロックを少しずつずらして並べたような構成になっていますが、前川氏一流の、小さな都市空間を創るような建築空間構成の秩序を感じます。

最も良い場所がレストランになっているのも、前川氏の設計思想を反映しているのでしょう。このレストランは、東京文化会館、国立科学博物館のレストランなどとともに、精養軒が運営しています。精養軒は、老舗西洋料理店で日本におけるフランス料理店の草分けといわれており、1872(明治5)年に三条実美や岩倉具視の援助により築地で創業、1876(明治9)年には、欧米視察より帰国した岩倉具視の勧めにより、上野公園内の飲食・社交機能を持つ場として上野精養軒を不忍池畔に開業したものです。鹿鳴館時代の華やかな文明開化を象徴する存在で、築地本店が関東大震災で焼失してからは上野精養軒が本店機能を果たしています。
クリムト展は、クリムトの没後100年を記念して開催されたもので、日本では過去最多となる25点以上の油彩画を観ることができました。彼の黄金時代の代表作の一つ、ベルベデーレ宮オーストリア絵画館等に所蔵されている「ユディト1」を観られただけでも大満足。敵将を欺いた直後の信心深い未亡人の表情など、クリムトの表現力に圧倒されそうでした。

今年は日本とオーストリアの友好150周年だそうですが、クリムトの作品にも日本の工芸品に置ける金箔の使い方などの影響があったそうです。日本が西洋文化を取り入れてきたことは間違いありませんが、逆に、日本にも世界に誇れる文化があるのですね。

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