『アジア探索047~ソウル編⑧』
再生された清渓川
ソウル市内を流れる清渓川(チョンゲチョン)は都市河川再生の事例として近年有名になっていますので、行ってみたいと思います。
清渓川は、朝鮮王朝の時代には、北村(プッチョン)と南村(ナムチョン)を分かつ川でしたが、いつしか、周辺住民の生活排水が流入する下水道代わりの川になってしまいました。1960年代の韓国の経済成長・都市開発に伴い水質はさらに悪化し、川岸には朝鮮戦争の避難民のバラックが集まるようになりました。1970年代、ソウル市政府は、清渓川を暗渠化して住民を強制的に退去させるとともに、川の上部に清渓高架道路を建設したのです。
2000年代に入ると、清渓川を復元すべきだという世論が高まってきました。そして、2002年6月のソウル市長選にあたって、李明博(イ・ミョンバク)氏は、公約の一つとして「清渓川復元事業」を掲げて当選しました。新市長の公約どおり、2003年7月から老朽化の進行していた高架道路を撤去し、光化門を基点に東大門市場あたりまで全長約5.8kmにわたって河川を元に戻す工事が行われ、2005年9月に完成しました。2年3ヶ月で河川を覆う構造物を撤去し、通常の河川に復元する工事を終えたのですから、驚異的な速さです。
水質が悪化しないようなインフラ改善工事も行われ、40万本もの樹木も植えられ、市民が親しむことのできる清流のある空間が戻ってきました。夜はライトアップされ、ランタンフェスティバルやクリスマスフェスティバルも行われているようです。
東京でも、日本橋川の上部を走る高架の首都高速道路を地下化するプロジェクトが2020年以降ようやく始まるようですが、川のある景色はやはり良いものですね。