『アジア探索036~ジャカルタ編③』
バンジール
もう一つのジャカルタの名物は「banjir(バンジール)洪水」でしょうか。ジャカルタは熱帯雨林気候に属しますが、年間通じて最高気温は30度~33度で、近年の東京の猛暑を考えると、むしろジャカルタの方が過ごしやすいぐらいかもしれません。
雨季と乾季があり、11月~4月の雨季には、通常ほぼ毎日、スコールや雷雨が降ります。南のボゴールなど山間部に降る多量の雨が豊富な地下水脈を作っており、地盤も軟弱です。北にジャワ海を臨む市内北部では、地盤沈下が進行して部分的に路面が河川や運河の水位より低い光景も見られ、大雨が降るとすぐに冠水してしまいます。
そんな時、日本企業は、現地人スタッフがバンジールのため出社できない事態に陥ります。それも許容されるおおらかな社会ということでしょうか。
地球温暖化によって北極や南極の氷が溶けて海面が上昇することが危惧されていますが。BBC放送は2018年8月、世界で最も早く水没する都市としてジャカルタをとりあげて、2050年までに水没する危機に瀕していると報道しました。これらを踏まえて、国家総合統合型沿岸開発(NCICD)マスタープランまたはジャイアント・ジャカルタ海壁と呼ばれるプロジェクトが進行しているようです。ガルーダの形の埋立地を沖合に作る計画で、かつての宗主国であるオランダがこの巨大プロジェクトへの技術支援を申し出ているとのことです。
どのように進んでいくのか、注目したいところです。