『アジア探索026~台湾編③』
「信義計画区」と「台北101」
台北は、周囲を陽明山地国立公園に囲まれた盆地に位置し、旧市街地は淡水河、基隆河、新店渓という3つの河川に囲まれた地域に広がっています。CBD(中心業務地区)は、この地域のやや西より、台北駅周辺から中正記念堂あたりに向かって形成されてきました。
信義計画区と呼ばれる開発区は、CBDの東、松山空港の南に位置していて、90年代頃から政府が建設投資を積極的に行ってきました。1994年には台北市庁舎も移転し、周辺一帯が名実ともに台北の副都心となっています。
その信義エリアで最も有名なランドマークとなっているのが、「台北101」です。2004年に当時世界第1位の高さ(509m)となる超高層ビル(地上101階・地下5階建て、延床面積412,500m²)として完成し、地上449mの91階には屋外展望台があることで有名です。
周辺には、世界貿易センター展示館、国際会議センター、新舞台(劇場)、威秀影城(シネマコンプレックス)、グランドハイアット台北、新光三越信義新天地、統一時代百貨台北店などがあります。日本では百貨店が往年の勢いをやや弱めて、次第に形態を変化させようとしていますが、台湾では従来型の百貨店が健在のようです。
高さ509mの「台北101」は、2007年7月にドバイの「ブルジュ・ハリファ」に抜かれるまで世界一でした。その後、上海タワーなどに抜かれましたが、2018年7月現在もなお、テレビ塔などを除いた建物としては世界で6番目の高さです。CFT(コンクリート充填鋼管)構造で、外壁は二層のガラスからできているアルミニウムカーテンウォール。87階には直径約5.5mで、厚さ125mmの鋼板40数枚重ねて作った総重量650トンのマス・ダンパーがあり、強風時の横振れを抑えているとのことです。
27階から90階にかけて逆台形を縦に重ねたようなシルエットは、中国の伝統文化を象徴する宝塔や竹の節のイメージでデザインされています。8階分を一節として、8つの「節」が連なっているのですがこれだけ8を用いているのには理由があります。それは、中国文化圏においては「八」が縁起の良い数字だからです。その由来は、易経の八卦であると言われ、また、広東語では「八」と発展の「発」の発音が同じだからと言われています。
余談ですが、中国、香港、シンガポールなどでは、良い数字のナンバープレートに高値がつくことはよく知られていますが、台湾で2012年に「AAA-8888」のプレートについた値段は、200万台湾元(1台湾元=3.5円とすると約700万円)だったというから驚きですね。ここでは、車だけでなく、ナンバープレートがステイタスシンボルになっているのでしょう。