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2020.03.24

『アジア探索056~中国大都市編⑤』 中国らしい都市:成都、杭州、そして武漢

『アジア探索056~中国大都市編⑤』
中国らしい都市:成都、杭州、そして武漢

駆け足で上海、北京、深センと探索してきましたが、このようなメガシティ以外の、もう少し中国らしい大都市を概観してみたいと思います。
最も中国らしい都市として「成都」を挙げる人も多いようです。四川省の省都で、三国志の時代には「蜀漢」の都でした。広大で豊穣な盆地の恵みの下、今でも豊かでゆるやかな時間が流れ続けているようです。隈取(くまどり)を施したお面を幾度も早変わりさせる「変面(変瞼)」や、注ぎ口の長い急須から曲芸のように湯呑にお茶を注ぐ「カンフー茶芸(長嘴壺茶芸)」を楽しめば、かつて「老いては四川を離れられなくなる」と詠まれたような悠久の時間を感じられそうです。

南宋時代の都であった浙江省の「杭州」も一度は行きたい街です。市の中心部に広がる西湖には、「断橋残雪」、「平湖秋月」など漢詩に描かれるような風景が広がり、中でも白居易が築かせたという堤防の太鼓橋はいかにも中国的な曲線美を持っています。さらに、東坡肉(トンポーロウ)などの家庭料理、龍井茶(ロンジンチャ)等、中国らしさを感じる名物には事欠きません。

そして「武漢」です。今回の一連の「コロナウイルス」報道で初めて知った方も多いかもしれませんが、3800年の歴史をもつ名城です。三国時代、楚文化の発祥地の一つで、李白の詩などで詠まれた「黄鶴楼」は223年に孫権により武昌に建造されたものです。長江に漢江という支流が合流する部分を囲む武昌、漢陽、漢口の三つの地域からなり、「百湖の市」と呼ばれるとおり水面が全市域の約4分の1を占めるとのこと。映画「レッドクリフ」で有名な赤壁は、武漢から100km上流のところにあります。長江は大河で大きな船も航行できますが、河口から約900km上流の武漢にコンテナ港が築造され、工業都市として成長、グローバルなサプライチェーンでも重要な位置を占めるに至ったのです。

武漢発のコロナウイルス渦。改めて中国が日本経済や世界経済に大きな役割を占めていることを実感しました。政治体制は異なる中でも、特に世界的なリスクに対する国際的な情報共有は必須です。日本人がいち早くマスクを武漢に送ったことで、日本人の好感度が上がったという話も聞きますが、一方で、自国での対策が効果を上げるや日本の防疫体制を批判する声も聞こえます。日本と中国はアジアの時代における良き隣人として、ウィンウィンの関係を保っていきたいものです。(中国大都市編 おわり)

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