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2020.03.18

『アジア探索055~中国大都市編④』 経済力で香港を超えた深セン

『アジア探索055~中国大都市編④』

経済力で香港を超えた深セン

深センは、広東省の沿海部中央に位置する都市で、香港と陸続きになっており、香港中心部から車なら1時間ほどでアクセスできます。もともとは人口3万人くらいの漁村でしたが、1980年に鄧小平が中国初の経済特区に指定して外資系企業を迎え入れる政策を打ち出して以来、その様相は一変しました。自由貿易港を持つ香港に近い地の利を生かして製造加工業等が急成長し、経済も劇的に発展、2018年までの38年間で人口が400倍近い約1,190万人になったのです。

今も中国全土から若者が集まることから、65歳以上の高齢者は2%に過ぎず、全市民の平均年齢は34歳だそうです。2000年前後からは、携帯電話の修理・部品の再利用・組立等の産業が急成長した上、特に2011年から5年間は政府主導で高度人材を誘致する活動が展開され、多額の助成金が給付されました。それらが深セン大学の学生・大学院生らの起業に結び付き、IT企業など多くのグローバル企業が生まれています。

深センが貿易、金融、国際取引に関する法務・税務コンサルティングなど多くの面で香港企業に頼って発展してきたことは紛れもない事実ですが、今や、深セン市のGDPが香港のそれを上回ったそうです。以前は香港市民が週末は物価の安い深センに買い物に行っていましたが、今は逆に深セン市民が香港に行っているとのこと。一帯一路戦略に重要な位置を期待されている「広東・香港・マカオ拡大ベイエリア」において、中核都市は深センであり、中央政府も深センを重視しています。

そんな深センの街も、120日からの緊急事態によって静まり返ってしまったのだと思います。そして、サプライチェーンの重要な鎖が止まってしまったことが、世界経済にも影響しているのです。

深センの街を歩いても、歴史的な街並がほとんどないためか、中国らしさや中国文化をあまり感じないのでしょうし、深センを知っているだけでは、中国を知っているとは言えないでしょう。深センは、中国の一つの面、急速に経済成長・IT化を成し遂げた国家を象徴している都市です。

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