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2020.01.14

『東京探索056』渋谷エリア⑩ 渋谷ヒカリエのアーバンコアと東急東横線の地下化

『東京探索056』渋谷エリア⑩

渋谷ヒカリエのアーバンコアと東急東横線の地下化

渋谷ヒカリエが開業したこと、東急東横線が地下化され東京メトロ副都心線と相互乗り入れを始めたことが100年に一度と言われる渋谷大改造の契機であるようなお話をしましたが、今回はもう少し詳しくお話しします。

東急東横線は、もともと山手線の上空を越えて東側に回りこんでいました。東急東横線のプラットフォームは2階レベルにあり、同じく2階レベルの京王井の頭線から東急東横線に乗り換えるためには、JR山手線の線路を越えるために一度3階レベルのコンコースまで階段を上り、再び下りる必要がありました。2009(平成21)年には東京メトロ副都心線が開業して地下5階レベルにプラットフォームができましたが、開業後の4年ほどは、東急東横線から東京メトロ副都心線に乗り換えるためには、6層分の階段を下りなければならなかったのです。

そんな中、2012(平成24)年に渋谷ヒカリエが完成しました。ヒカリエは商業施設、文化施設、オフィスからなる複合施設ですが、大きな特徴は、前面にエスカレーターによる上下移動の空間「アーバンコア」を内包していることです。このアーバンコア内のエスカレーターは、地下3階の東急東横線・東京メトロ副都心線改札口レベルから地上4階まで円筒形の空間の中を移動でき、東急東横線と東京メトロ副都心線相互の乗り換え動線としても便利でした。

多くの人々が渋谷駅にいったん降り立ち、しかも自ら建設した複合ビルの内部を通って乗り換える状況で、渋谷ヒカリエ商業施設への顧客誘引も期待できる状況でした。このままでも良いような気もするのですが、東急は鉄道利用者の利便性のさらなる向上を目指して、東横線の地下化、東京メトロ副都心線との相互乗り入れを決断したのです。これまでいったん電車を降り、乗り換えていた多くの顧客がそのまま渋谷駅を素通りしてしまうことになります。それでも東急は、利用客の利便性を格段に向上させることを優先したのです。

ヒカリエの11階のスカイロビーには、渋谷大改造の500分の1スケールの将来予想模型が飾られていました。窓の下には東京メトロ銀座線の新駅を見ることもでき、変わっていく渋谷の全体像がよくわかりました。渋谷大改造を決断した東急は、鉄道利用者の利便性を高めることはもとより、一部の顧客が直通運転で素通りすることになったとしても、渋谷の街自体の魅力をアップグレードすることで吸引力はますます増大すると見ているのでしょう。

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