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2018.09.26

『アジア探索029~台湾編⑥』臺中の計画的開発区と「國家歌劇院」

『アジア探索029~台湾編⑥』

計画的開発区と「臺中國家歌劇院」

臺中は、臺湾の6つの直轄市の一つで、人口約280万人、高雄と臺湾第2の都市の座を争っており、西海岸に面し、新竹市、桃園市などとともに臺湾のハイテク産業を支えています。桃園国際空港から直接臺中に向かう場合、MRT(大量高速輸送)や新幹線を乗り継いで1時間あまりで、臺北市内へ行くのとそれほど変わらない時間距離です。

高鐡臺中駅は、中心市街地から西にはずれた位置にあります。臺中の市街地は、ゾーンごとに計画的に再整備されていて、現在は1990年頃から整備され始めている「第七期市地重劃區」という計画的開発区において、新しい建物が建設されています。2014年に完成した伊東豊雄建築設計事務所の設計によるオペラハウス「臺中國家歌劇院」もその一つで、2005年の国際コンペティション当選から10年の歳月をかけて実現しました。

この建物は、 「サウンドケーブ(音の洞窟)」をコンセプトにして、「カテノイド(懸垂面)」という床、壁、天井が切れ目なくつながる三次元曲線の壁面が最大の特徴です。58枚の大きさの異なる曲面パネルを組み合わせてホール、ホワイエ、ロビーなどの空間が枝分かれしながら連続する構成になっていて、高難度の「ニュートラスウォール工法」によって実現しました。鉄筋コンクリート造地下2, 地上6階建てで、敷地面積は57,020㎡、建築面積8,308㎡、延床面積は51,152㎡を誇ります。

臺湾初の2層式の舞台を持つ本格的なオペラハウスで、エントランスを一歩入ると、蛇行する水路、エレガントなフラワーアレンジメントが出迎え、1階から6階まで、カフェ、地元文化やクリエイティブの展示、書斎、ダイニングなどがレイアウトされた、五感に訴える渦のような空間に包まれます。白い外壁は圧倒的な存在感を誇り、それ自身がプロジェクションマッピング可能な演出空間になります。この建物はロイター通信によって「世界の9大新ランドマーク」にも選ばれ、臺湾市民の誇りになっています。

第七期市地重劃區にはこのほか、東海大学、逢甲大学、臺中工業団地、中央科学園などの産業・学術施設、百貨店、レストラン、高級住宅街などがあります。このように計画的に街づくりを進めているあたり、臺湾の政治体制自体は自由主義なのですが、どこか中国本土と似ているのが不思議ですね。

 

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