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2017.11.21

『東京探索008』代官山エリア③「代官山T-SITE」

『東京探索008』代官山エリア③

2011年には、ヒルサイドテラスに隣接して、「代官山T-SITE」が開業しました。これは、蔦屋書店の新たな業態の第一号で、カフェを含むゆとりのある空間に書籍をはじめとした情報をちりばめる「生活提案型商業施設」で、代官山の魅力をますます高めています。

事業主は、CDDVDレンタルチェーンのTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブグループ(以下、CCC)で、吉村総合計画鑑定は開発当初からプロジェクトに関わり、オープンまで一貫してサポートを行いました。

ノースウエスト航空とNTTグループの社宅があった合計約13,000㎡の敷地に、建物3棟が並列に配置されており、13号館が3階建て、2号館が2階建て、3棟合計の延床面積は約5,900㎡で、ゆったりと本が選べるアッパーグレードの書籍・映画・音楽ショップ「蔦屋書店」、スターバックスコーヒーなどが入居、北側には代官山T-SITE GARDENと名付け緑を多く取り入れた落ち着いた空間に、寺田倉庫が手がけるカフェバー・ダイニング「IVY PLACE」、北村写真機店、電動アシスト自転車の「Motovelo」などこだわりの店舗が配置されています。

集客はオープンから6年たった今もなお好調で、代官山エリアに住居や職場をもつ層はもとより、デートスポットやミーティングポイントとして、今では首都圏エリア全域で広く認知される人気施設となっています。事業採算主義に縛られ過ぎず、自由な発想で施設開発ができたことが大きく、CCCという異業種企業だからこそできたこと、容積率をあえて使い切っていない豊かな空間は、ヒルサイドテラスから受け継がれているかのようです。

収益性ばかりを追求すれば、そのぶん解放感やくつろぎ感は失われてしまいます。CCCは “ゆとり” の部分を重視し、結果としてそれ自体が大きな付加価値となっています。

代官山T-SITEの成功をベースに、2014年には藤沢サステイナブルスマートタウン内に「湘南T-SITE」が、2016年には、大阪に「枚方T-SITE」、世田谷区の二子玉川ライズ内にT-SITEの延長線上である「蔦屋家電」がオープンして好評を博しています。

代官山は、渋谷ほど高層ビルも多くなく、人も車も多くないところに、快適な小路や歩道に連続した小広場が点在する空間の豊かさが人を惹きつけていますが、この精神は、同潤会代官山アパートメント、さらにはヒルサイドテラスから受け継がれているといってよいでしょう。地元のまちづくりには、古くからの住民も、新しい商業者・住民も参加して、お互いに刺激しあいながら生き生きと活動しているようです。

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