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2017.08.25

『わが国の都市をめぐる今日的課題001』投稿にあたって

『わが国の都市をめぐる今日的課題001

投稿にあたって

2020年オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、東京では社会基盤の整備が着実に進んでおり、特に都心における大規模都市開発が加速しています。特に、大手町・丸の内・有楽町~八重洲・日本橋や、虎ノ門などで、国家戦略特区やアジアヘッドクォーター地区として位置づけられた地区においては、東京の国際競争力を高める都市開発が力強く進められています。

東京の都市景観は大きく変わりつつあります。レインボーブリッジから都心方向を眺める景色は、20年前と比べるとドラスティックな変化を見せており、すでに「隔世の感」がありますが、さらに2020年の東京の都市景観はどのようになるかを想像すると胸の高鳴りを覚えずにいられません。

その一方で、国土を「都市」と広い意味の「農村」(漁村、中山間などを含む非都市部)とに分けた場合の「農村」においては、後継者不足による耕作放棄・過疎化・限界集落などの問題が深刻です。これらを巨視的に他の先進国と比べて考察すると、わが国における都市と農村の発展は必ずしも均衡がとれたものとは言えないのではないでしょうか。

ここ数年、「サステイナブルな都市開発」という言葉がわが国でもよく聞かれるようになりましたが、「サステイナブルな都市」とは言うべきではないことに注意する必要があります。なぜなら、都市住民の生活は,必ず農村や漁村からの食物や森林資源、鉱物資源の供給により支えられており、単独では成立し得ないからで、「農村と共存したサステイナブルな都市開発」の概念ならありえます。

欧州の農村を訪れると、派手なエンターテインメントや最新式の大規模ショッピングモールはなくても、「豊かさ」を感じることができます。村の中心に教会、マーケット広場、役場があり、小さな商店街に食料品店、金物屋、レストランを兼ねたゲストハウスが1軒だけあるというのが典型的な絵姿ですが、そのような農村でも、長い夏のバカンスには車の後ろにキャンプ道具を満載したトレイラーを牽引してリゾート地にでかけるような豊かなライフスタイルを垣間見ることができます。

これらを前置きとして、わが国の都市(都市計画や都市再開発)をめぐる今日的課題を見ていきたいと思います。

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