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2019.05.21

『東京探索037』 新宿エリア⑬ 線路上空の開発―新南口のさらなる発展

『東京探索037』 新宿エリア⑬

線路上空の開発―新南口のさらなる発展

新宿駅南口の開発は、線路上空の人工地盤の建設により新たな段階に入っていきます。

JR線路を跨ぐ国道20号(甲州街道)の新宿跨線橋は、1925(大正14)年に架設されたもので、老朽化が懸念されていました。また、スペースの余裕が無く駅前広場も設置できなかったため、タクシーの客待ちや一般車の人の乗降は路上で行われていたことも課題でした。また、新宿駅周辺の整備課題として、多くの高速バス発着所があるが19か所に分散していてわかりにくいだけでなく、一部の停留所は道路上にあり、バスターミナルを建設するにも用地確保が極めて困難でした。

このような中、国土交通省とJR東日本が主体となって「新宿駅南口地区基盤整備事業」を計画しました。これは、新宿跨線橋の拡幅改築、新宿三丁目駅とJR新宿駅間の地下歩道建設とともに、跨線橋の南側に「新宿交通結節点」を整備し、鉄道駅や高速バスターミナル・タクシー乗降場などを集約した建物を創造するものです。まず、新宿跨線橋の工事に必要なスペースも兼ねて線路上に約1.47haの人工地盤の建設を行い、その後この上にできたのが高速バス、空港リムジンバスなどが発着する総合バスターミナル「バスタ新宿」です。20164月に開業し、現在、利用者数は平均約2.8万人/日、最大約4.1万人/日とのことです。

併せて建設された複合ビル「JR新宿ミライナタワー」は、新南口駅舎の跡地を利用して建設した32階建てのオフィス棟、低層部の商業施設、クリニック、線路上空の人工地盤に建てられた多目的ホール・保育所・イベント広場等から構成されています。このうち、特に商業施設NEWoMan「ニュウマン」は、オフィス棟の低層部6フロアと、新宿駅構内の1フロア、線路上空部の3フロア(屋上含む)を占めていて、駅コンコースから直接これらの施設へ移動できるなど、JRならではの空間構成を実現しています。新宿サザンテラスに端を発した線路上空の未利用空間の活用が、新宿エリアに新たな活力を生み出しているのですね。

一日延べ350万人が乗降する新宿駅を取り巻いて、東口、西口、南口それぞれが新たな開発を行い、発展を目指していますが、都心、都心周辺部、渋谷など都内の各拠点がそれぞれ個性的なまちづくりを推し進めている中で、どのように競争力を高めていけるでしょうか?新宿はもともと伝統文化というよりは先進性を求めるような土壌はあるような気がするので、期待したいと思います。(新宿シリーズ おわり)

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