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2018.07.18

『東京探索013』虎ノ門エリア⑤ 最上級の施設構成

『東京探索013』虎ノ門エリア⑤
最上級の施設構成

第二種市街地再開発事業とは、市街地再開発事業の中でも公共性、緊急性が高い地区に適用されるタイプです。東京では他に、災害時の大規模避難場所の機能を持つ墨田区の住宅団地「白鬚東地区防災拠点」が思い起こされます。第二種市街地再開発事業の施設建築物でありながら、「虎ノ門ヒルズ」ほど民間事業者のノウハウを活用して不動産価値を高めている事例は他にはないのではないでしょうか?
虎ノ門ヒルズの地下1階から地上1階の一部には、幹線道との本線が地上に顔を出す部分のスロープが組み込まれています。ゆるやかなアールを描く南側のガラスの外壁沿いの柱は、実は環状2号線トンネル部の中央分離帯の部分に落ちているのです。
これにより、新虎通りの真正面に森タワーが聳え立つ、という故・森稔社長の描いた姿が実現した反面、通常は最も価値の高い1階の大半が道路によって阻害されることになりました。設計にあたっては、そのような難しい前提条件の中で、いかにオフィス、ホテル、住宅それぞれの顔をつくり、かつ、オフィスサポートを主とした商業施設を配置するかがポイントであったに違いありません。
愛宕通り側のアプローチから入ると、一層分階段とエスカレーターで上がったところが東南のエントランスになっています。ここから中に入ると、緩やかに螺旋状に上っていく低層部の空間が始まります。半周回ったところで虎ノ門駅側から登ってくる動線と合流し、オフィスエントランスへと続きます。
南側のスロープ状の部分は、外壁のガラスを挟んで、同様に緩やかな坂道でせせらぎを持つ屋上庭園と見事に一体化されています。ハイアットチェーンの上級ブランドである「アンダーズ東京」が最上部に入っていますが、そのエントランスは1階北側にしつらえてあり、立派な車寄せも備えています。このように、2階にも「顔」を作ることで、道路を抱えている複雑さゆえのハンディキャップを克服しているのですね。

 

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