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2018.05.15

『アジア探索021~シンガポール編⑦』高い教育水準と「シングリッシュ」

『アジア探索021~シンガポール編⑦』

高い教育水準と「シングリッシュ」

李光耀(リー・クワンユー)首相は、「資源も水も食糧もない」国における成長戦略を思い巡らせた結果、「ヒト」を唯一の資源と考え、「教育」を大きな柱に据えました。その一環として、シンガポールは小学校の段階から独特の教育システムを創りました。それは、初等教育修了試験によって能力別の振り分けを行う制度です。

シンガポールの人口構成を見ると、常住人口561万人で、そのうちシンガポール国籍を持つ人は340万人(約6割)、永住権保持者が50万人(約1割)、残りの3割は外国人です。国籍保有者・永住権保有者を合わせた397万人の内訳を見ると、「華人」と呼ばれる中国系住民が74%、マレー系が13%、インド系が9%、その他2%(20176月外務省調べ)です。以前は、第一言語を英語とする小学校のほか、マレー語、中国語、タミル語などの小学校もあったそうですが、1984年からすべての小学校で英語による教育が行われるようになりました。このことが、その後のシンガポールにおける人材育成、ひいては経済発展の一つの大きな成功要因ではないでしょうか?

英国のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌が20182月に発表したアジア大学ランキングでは、シンガポール国立大学が総合1位(3年連続)の栄誉を得ました(世界ランキングでは22位)。シンガポールからは、南洋理工大学も5位にランクインしました。ちなみに東京大学は8位です。これも、李光耀(リー・クワンユー)首相が英語を公用語にしたことのプラス効果が大きいのかもしれません。世界72か国・95万人の成人英語学習者を対象にした国別英語能力指数レポート「EF English Proficiency Index 2016」では、72ヶ国中シンガポールは6位でした。ちなみに日本は35位です。

確かにシンガポール人は、流暢に英語を話します。その一方で、「シングリッシュ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?シンガポール人独特の癖を持つ英語のことです。確かにシンガポール人は、語尾にしばしばlaをつけたり、Can youで始まる疑問文に対して、Can, canと答えたりします。

シングリッシュであるとしても、多くの日本人が話す英語に比べれば、ネイティブにとってもわかりやすいのではないでしょうか?社内の公用語を英語にする会社も増えてきた日本、大学受験の英語問題も読み書き偏重から相当変わってきているようですが、まだまだ道半ばという気がします。

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