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2017.12.26

『東京探索番外編005―TODの系譜⑤』東京の奇跡―道路交通状況の北京との比較

『東京探索番外編005―TODの系譜⑤』

東京の奇跡―道路交通状況の北京との比較

品川、汐留などの東京のTODの事例には中国やアジア各国の人々も注目していますが、同時に、東京の都市全体において、交通渋滞が減少していることが中国の複数のメディアに取り上げられ、北京市と比較されて「東京の奇跡」と話題になっています。

確かに、総務省統計局が定義している「関東大都市圏」の面積は14,034k㎡で、人口は 3,690万人(2010年)で、北京市の面積は16,810 km²、人口は2,150万人(2016年)です。現状では北京市の都心部、都心周辺部における道路の渋滞は慢性的なのに対して、中国メディアの報道によれば、「東京では30年前に比べて渋滞が緩和され自動車の平均旅行速度が2倍に上昇しているデータがある」とのことです。

その理由として報道されているのは、①東京がほかの国際的大都市に比べて地下鉄をはじめとする公共交通機関が非常に発展しており、利用率も高いこと、②自動車通勤をしたくても、会社が従業員用の駐車スペースを準備しきれず、それでも自動車通勤する場合は自ら驚くほど高額な駐車場代を負担しなければならないこと、③路上駐車できる場所もほとんどなく、主要な道路における駐車違反の監視が近年強化されていることなどです。

東京都市圏パーソントリップ調査(2013年)によれば、東京の通勤者・通学者の85%は地下鉄・電車・バスなどの公共交通を利用しており、自動車を使用している人は4%に過ぎません。

地下鉄網に関してみると、北京の地下鉄は19路線、345の駅、全長574kmに及ぶのに対して、東京の地下鉄は営団・都営を合わせて13路線、285の駅、全長は304kmに過ぎません。利用者数は北京市の統計で北京の地下鉄は1日平均1,000万人を超えていますが、東京も営団・都営の単純合計では1日平均991万人(2016年)で、ほぼ拮抗しています。ただし、中国のメディアは、都心部における路線密度については、東京の地下鉄の方が優っていることを指摘しています。さらに、私鉄からの直通運転が着々と増えていること、路線間の乗換えの利便性も向上していることなどを考慮すると、東京の地下鉄は世界一使いやすいと言えるのではないでしょうか。

さらに、真にTODを促進するために、市街地は「ウォーカブル(歩行可能)」でなければなりません。つまり、家から駅までの歩道、駅からオフィスまでの駅は歩きやすいものでなければなりません。この点でも、北京の多くの車線と道路を横断することは困難であり、東京は優れていると言えるでしょう。

今後もますます東京の公共交通の利便性は向上し、TODモデルの先進事例は増えていくことでしょう。

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