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2017.12.19

『東京探索番外編004―TODの系譜④』TODの典型事例その2-汐留地区

『東京探索番外編004―TODの系譜④』

TODの典型事例その2-汐留地区

今回は、もうひとつ、TODの典型的な事例である汐留シオサイト(汐留地区)を紹介します。

汐留は、江戸時代の埋立地の一部で、会津藩松平肥後守などの中屋敷が建っていましたが、1872年に日本初の鉄道が敷設された際に、新橋駅の用地として接収されました。

この旧新橋駅は、しばらく旅客駅として使われていましたが、1914年に東京駅が完成して旅客駅の座を譲りました。その後は、駅構内が広大だったため貨物駅として再利用されることになり、汐留駅と改称、1986年に東京貨物ターミナル駅(品川区八潮)にその機能を譲るまで、長く日本の経済発展に貢献してきたのです。

その汐留駅の跡地31ヘクタールは、国鉄清算事業団に保有されたまま、手付かずで残っていましたが、民間活力の活用による都市開発として1995年に計画づくりが始動しました。

汐留地区は、都心のうち霞ヶ関の官庁街や、新橋から虎ノ門・神谷町へと広がる業務集積にも近く、オフィス街に相応しい上、浜離宮恩賜庭園に接し、銀座の商業集積や築地にも近く、ファイブスターホテル、超高級マンションが立地するための好条件を揃えています。交通面でも、新橋駅からも徒歩5分程度と至近であるうえ、地区の中央には軌道交通「ゆりかもめ」、都営地下鉄大江戸線の汐留駅が設置されることが決定していました。

東京都は関係者との協議を経て、全体を11の街区に分ける土地区画整理事業のマスタープランを固めました。マスタープランの最大の特徴は、一部の区間において、道路空間を6層にわたって立体利用していることです:軌道交通ゆりかもめの軌道(地上3階)、歩行者デッキ(地上2階)、道路(地面階)、地下歩行者空間(地下2階)、都営地下鉄大江戸線駅コンコース及び地下車路ループ(地下3階)、都営地下鉄大江戸線の軌道(地下4階)という6層です。特に、地下2階の地下歩行空間は、この区間の道路に接する5つの街区すべてが同一のレベルで接して街区間の移動を容易にしているうえ、大きな開口から自然光が入り、地面まで11mと階高も高く、快適な地下空間になっています。

2004年には13棟の超高層オフィスビルが建ち並び、4つのホテルや数多くのレストラン、ショップなどが並ぶ就業人口61000人、居住人口6,000人を数える複合都市として汐留地区の開発がほぼ完成しました。

汐留シティセンター、松下電工本社ビルのある「2街区」の北側には、旧新橋駅の建物が復元されており、ここにある鉄道歴史展示室には、旧新橋駅の遺構や、汐留の歴史を語る写真なども展示されており、興味がある人には是非訪問してほしい場所です。

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