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2017.12.05

『東京探索番外編002―TODの系譜②』東京におけるオフィス街区の形成過程とTOD

『東京探索番外編002TODの系譜②』

東京におけるオフィス街区の形成過程とTOD

東京におけるオフィス街区の形成過程に対しては、鉄道の発展、鉄道駅の開設が重要な意味を持っています。朝の一定範囲の時間帯に大勢の人が出勤して来るためには鉄道による大量輸送が不可欠で、これを自動車でまかなうとしたら、どれだけ大量の駐車場と広幅員の道路網を用意したとしても追いつかず、大渋滞を起こしてしまうでしょう。

東京における、いわゆる「CBD」(中心業務地区:Central Business District)を見ても、1923年竣工の「丸ノ内ビルヂング」に始まる丸ノ内・大手町のオフィス街、1960年代に始まった西新宿の新宿新都心、いずれも鉄道ターミナル駅からの徒歩による通勤を想定して計画されています。新宿を例にとれば、新宿駅西口の地下広場から西に向かう都道「副都心四号縁」の地下部の両側には歩道がありますが、これにより歩行者は横断歩道を横断することなく移動でき、朝夕の大量の歩行者交通量を捌くのにきわめて有効な手段になっています。

また、1998年に第一期、2004年に第二期が完成した品川駅東口開発地区においては、品川駅の橋上コンコースから駅前広場上部の歩行者デッキを介して、地区内11棟すべての建物に上下移動なしでアクセスできる歩行者ネットワークが整備されています。また、2004年にほぼ完成した汐留シオサイトにおいても、地区の中央に地下鉄大江戸線及び「ゆりかもめ」の汐留駅が新設されたほか、新橋駅と結ぶ地下通路及び歩行者デッキが整備され、地区内の各街区間も、歩行者デッキや地下空間で結ばれています。

このように、鉄道駅に直結した形で合理的な歩行者ネットワークされた街区に高層オフィスを中心とした複合施設群が整備される事例が増えつつあり、これらが典型的なTODであると言えるでしょう。

次回以降、品川と汐留を詳しく紹介します。

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